アセス

- コラム -COLUMN

健康な歯と歯ぐきをまもるために…。
歯の健康に関するコラム記事を
ご紹介しています。

2026/09/25

歯槽膿漏治し方ガイド|
効果的な治療法と全身への影響

歯槽膿漏治し方ガイド|効果的な治療法と全身への影響

「歯槽膿漏で歯を失うって本当?」と不安に感じていませんか?
歯槽膿漏は放置すると歯を失うこともある怖い病気です。それを回避するには予防や早期治療が欠かせません。
当記事では歯槽膿漏に効果的な治療法やセルフケア、放置するリスクや全身への影響などについて分かりやすくまとめて紹介します。お悩みの方はぜひこの情報をご参考ください。

歯周病(歯槽膿漏)の基本知識

歯槽膿漏とは何か?

歯槽膿漏とは、歯を支える周囲の組織に炎症が広がる「歯周炎」を指す言葉です。歯周炎になると、歯茎の腫れや出血などがみられるほか、進行すると歯を支える歯槽骨が破壊され、歯がぐらついたり、最終的には歯が抜けたりすることもあります。歯槽膿漏(歯周炎)は「歯周病」の一つです。歯周病には、炎症が歯茎にとどまっている「歯肉炎」と、炎症が歯を支える組織にまで広がった「歯周炎」があり、このうち歯周炎が歯槽膿漏にあたります。

歯肉の炎症はなぜ起こる?メカニズムについて

歯周病の始まりは歯肉に付着したプラーク(細菌とその産生物の集合体)です。歯肉の表面が炎症を起こし、原因菌の出す毒性物質によって歯根膜や歯槽骨など歯肉以外の組織にも炎症が広がる他、血液を介して全身に移動し、脳卒中や心疾患、糖尿病、誤嚥性肺炎といった全身疾患を引き起こす要因にもなるため注意しなくてはいけません。
歯周病菌の種類のなかでも「ポルフィノモナス・ジンジバリス(P.g菌)」「トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)」「タンネレラ・フォーサイシア(T.f菌)」の3つが発症や悪化に大きく関わっており、歯周病極悪3菌種やレッドコンプレックスとも呼ばれています。

特徴
P.g菌 ・酸素を嫌う嫌気性菌で主に歯周ポケット内に生息する
・歯槽骨を破壊する力が強い
T.d菌 ・酸素が少ない歯周ポケット内で増殖する
・らせん状細菌
・組織を破壊する酵素を生産する
T.f菌 ・炎症反応を引き起こす
・病原性を高める

歯肉炎と歯周炎の違い

細菌の影響が歯肉にみられる状態を「歯肉炎」といいます。軽度の歯周病であり、発症に年齢は関係ありません。小さなお子様でも歯肉炎になることはあります。軽い歯肉の腫れや赤みが主な症状です。
歯肉炎が進行して細菌の影響が歯肉以外の組織にもみられる状態を「歯周炎」といいます。歯周病の原因菌の増殖とともに歯肉の腫れや出血といった症状の悪化、歯の動揺(グラグラする状態)、排膿などがおこることもあります。
炎症範囲の狭い歯肉炎の治療は早期対応により改善しやすいとされていますが、進行して歯周炎になると治療が複雑になる場合があります。歯周病で歯を失わないためには予防や早期発見・早期治療が不可欠といえます。

歯槽膿漏の治療法

歯槽膿漏の治療では、原因となる歯垢(プラーク)や歯石を取り除き、口の中を清潔に保つことが基本の対策です。歯科医院では、自分では取り除くことが難しい歯石などを除去するとともに、毎日のセルフケアで歯垢をしっかり取り除けるように説明と、ブラッシング方法などの指導を行っています。
歯槽膿漏の進行の程度によって必要な治療は異なります。歯周ポケットが深くなり、その奥まで歯石などが付着している場合には、歯茎の内側に付着した歯石などを取り除く処置が行われることがあります。さらに進行している場合には、口腔内の状態に応じて、より専門的な治療が検討されることもあります。
また、歯科医師の治療を受けても、日常的に歯垢がたまる状態が続けば、症状が再び戻ることも、更に悪化する可能性もあります。そのため、歯科医院での治療だけでなく、定期的な検診や、毎日の歯みがきなどによるセルフケアを継続することが大切です。

セルフケア(自宅でできる治療法)

歯周病がある程度進行している場合、歯周ポケットをさらに深くしないことが重要になります。歯磨きの磨き残し部分を減らすためのお手入れの改善を行い、歯周病に効果のある薬用の歯磨き粉や洗口剤の使用が有効です。歯や歯肉といった組織の表面に歯垢や歯石が付着したままだと薬効成分がしっかりと浸透せず、実際の効果を十分に利用する得られない可能性がありますので、初めての人は歯科医院の基本治療を受けたあとにセルフケアとして併用することをおすすめします。

歯周病の主な症状・作用 ケアに用いられる成分
抗炎症作用
(炎症を抑制し、腫れ、痛み、赤みといった症状を鎮める作用)
・グリチルリン酸ジカリウム
・β-グリチルレチン酸
・ε-アミノカプロン酸
・カミツレチンキ
・ラタニアチンキ
収斂(しゅうれん)作用
(タンパク質を変性させて組織や血管を縮めたり、
粘膜からの分泌物を抑えたりする作用)
・トラネキサム酸
・ミルラチンキ
・ラタニアチンキ
血行促進作用
(体内の血液の流れをスムーズにし、全身への酸素や栄養素の供給、
および老廃物の排出を活性化させる作用)
・酢酸トコフェロール(ビタミンE)
殺菌・抗菌作用
(細菌やウイルスなどの微生物を殺したり、
繁殖を抑制したりする作用)
・イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
・塩化セチルピリジニウム(CPC)
・クロルヘキシジン(CHX)

歯槽膿漏の予防法

歯周病は目立った自覚症状がないまま進行していく病気であり、悪化しても気づきにくいという特徴があると言えます。根本的な原因となる磨き残しの防止はもちろん、その他の生活習慣などのリスク要因も良く把握し、できるだけ早めに適切な対処することが大切です。正しい予防法やセルフケア、定期的な歯科受診を心がけて歯周病から歯を守りましょう。

お手入れ方法の改善

歯周病は歯の周りの組織が細菌に感染することで発症するため、歯の表面のみ磨いても防げません。歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当てて、歯と歯の間や歯と歯肉の境目に存在する歯垢をしっかりと除去しましょう。歯周ポケットが深い場合は中に毛先を入れ込み、汚れをかき出すイメージで磨くのがポイントです。磨く時間を長くするよりも毛先の当て方や動かし方を意識しましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで汚れの除去率が高まります。仕上げとして歯周病に効果のある洗口剤を使用するといいでしょう。「自分に合ったお手入れ方法を知りたい」という方は一度歯科医院へご相談ください。

定期的なプロによるチェック・クリーニング

歯茎の腫れや出血は歯周病の代表的な症状ですが、それだけでは悪化の有無は判断できません。歯周病の状態を正しく知るには、歯周ポケットの測定や縁下歯石の有無などを調べる歯科医院で診断を受けることが必要です。加えてクリーニングを行うことでセルフケアでは落としきれない汚れを除去でき、歯周病予防をより効果的に行うことができます。

食生活や習慣の見直し

虫歯や歯周病の原因菌となる細菌はショ糖(砂糖)を栄養にしています。砂糖を含む食べ物を頻繁に摂取しているとリスクが高くなるため、食べる頻度を減らしたり、無理なく食べすぎを防ぐなら、ショ糖と比べリスクの低い人工甘味料で代用したりするなど工夫が必要です。食物繊維は噛むことで口腔内の汚れを除去する役割もありますので、積極的に摂るといいでしょう。バランスの取れた食事を心がけることは、全身の健康維持にもつながります。
食いしばりや歯ぎしり、喫煙習慣も歯周病のリスクを高めることが分かっています。歯ぎしり防止のマウスピースの使用や禁煙など改善を心がけましょう。マウスピースは歯科医院にて製作可能です。喫煙習慣がある場合は禁煙を検討するなど、生活習慣の見直しを心がけましょう。

矯正治療

歯並びが乱れていると歯ブラシの毛先が歯面に当たりにくく、その結果磨き残しが増える傾向にあります。一度崩れた歯並びは自然には戻らないため、整えるには矯正治療が必要です。

糖尿病の治療や予防

糖尿病は歯周病と相互関係にあり、一方が発症・悪化するともう一方も進行する傾向にあります。現在歯周病でない方も糖尿病に罹患している場合は「いつ歯周病が発症・悪化してもおかしくない状態」ですのでしっかりと管理していきましょう。

歯周病(歯槽膿漏)と全身の健康

歯周病菌の影響は口腔内だけの問題ではなく、歯周病菌や炎症の影響が血流を介して全身に及ぶことで、さまざまな全身疾患との関連が指摘されています。状態が悪化すると命に関わるケースも少なくないので、関連性を正しく理解し、歯周病の予防強化につなげましょう。

糖尿病

歯周病によって発生する炎症性物質が血糖値を下げるインスリンの働きを阻害する可能性があるといわれています。そのため歯周病の状態が悪化すると、糖尿病の血糖コントロールに影響を及ぼすことがあります。また、糖尿病に罹患している場合は、高血糖による免疫力低下や血行不良が原因で歯周病菌への抵抗力が弱まり、歯周病が進行しやすくなると知られています。

脳卒中や心疾患

歯周病菌や炎症性物質が血を介して全身に広がることで、血管内で炎症がおこりそこでプラークが蓄積します。その結果動脈硬化が進行し、こうした血管の変化が続くことで、さらに蓄積されたプラークが破れてそれを修復するために血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞といったトラブルにつながります。

誤嚥性肺炎

飲食物や唾液を誤って気道にいれてしまう(誤嚥)が起こると、同時に細菌が肺入り肺炎を引き起こすことを誤嚥性肺炎といいます。嚥下機能や免疫力が低下した高齢者はリスクが高いため日頃の口腔ケアが重要とされています。

早産や低体重児出産

歯周病菌が血を介して子宮に到達すると、子宮収縮を引き起こし、早産や低体重児出産のリスクが約7倍ほど高まります。これはアルコールや喫煙よりもはるかに高い数字です。妊娠中は大きなホルモンのバランスの変化や悪阻の影響で歯周病の罹患率も高くなるため、予防や歯科医院での検査・治療がより重要になるといえます。

歯周病(歯槽膿漏)の進行とリスク

歯周病は、歯肉に炎症が起こる「歯肉炎」から、歯を支える組織にまで炎症が広がる「歯周炎」へと進みます。この歯周炎が「歯槽膿漏」にあたります。
一般に歯肉炎の段階では、歯茎の赤みや腫れ、歯みがきの際の出血などが主な症状です。しかし、歯周炎へ進行すると歯を支える歯槽骨が徐々に失われ、歯周ポケットが深くなっていきます。さらに進行すると、歯茎が下がる、歯がぐらつく、膿が出る、噛むと痛むといった症状が現れ、最終的には歯を支えられなくなることもあります。
歯周病で特に注意したいのは、初期には強い痛みなどの自覚症状が現れにくいことです。「痛くないから大丈夫」と思っているうちに進行している可能性もあります。歯茎から出血する、歯茎が腫れる、口臭が気になるなどの変化がみられた場合には、早めに口腔内の状態を確認することが大切です。
歯周病の進行に伴うそれぞれ主な状態や症状について、以下の一覧で確認してみましょう。

状態 症状 リスク
歯肉炎 歯肉にのみ感染がみられる
(歯周ポケット:3~4mm)
・軽度の出血や腫れ
・軽度の口臭
放置することで歯周炎へと進行する
軽度の歯周炎 歯根膜や歯槽骨にも感染が広がり始めた段階
(歯周ポケット:4mm)
・出血や腫れ
・口臭
・軽度の歯肉退縮
歯槽骨が溶かされて歯肉の位置が下がり始める
中度の歯周炎 歯根膜や歯槽骨への感染範囲がさらに広がっている
(歯周ポケット:4~6mm)
・出血や腫れの悪化
・口臭の悪化
・歯肉退縮による知覚過敏
・軽度の歯のぐらつき
・少しの刺激でも出血する
・全身の健康にも影響を及ぼす
重度の歯周炎 歯根膜や歯槽骨への感染範囲がさらに広がっている
(歯周ポケット:6mm以上)
・出血や腫れの悪化
・口臭の悪化
・歯肉退縮による知覚過敏
・歯のぐらつき
・排膿
・咀嚼時の痛み
・少しの刺激でも出血する
・歯槽骨が半分以上溶け始め、歯のぐらつきが多くなりお手入れや食事が難しくなる
・歯周組織の破壊が進行すると歯周外科手術の対象外となる
・抜歯のリスクが高まる
・全身の健康にも影響を及ぼす

まとめと今後のケア

今回は放置すると歯を失うこともある怖い病気、歯槽膿漏について解説しました。
歯槽膿漏は、歯周病のうち「歯周炎」を指す言葉です。歯肉の炎症が歯を支える組織にまで広がると、歯槽骨などの歯周組織が徐々に破壊され、進行すると歯がぐらついたり、最終的には歯を失ったりすることもあります。歯槽膿漏は初期には強い痛みなどの自覚症状が現れないことが多いため、歯茎の腫れや出血、口臭などの変化に早めに気づくことが大切です。気になる症状がある場合は歯科医院を受診し、口腔内の状態に応じた治療を受けましょう。
また、歯槽膿漏の治療や予防には、歯科医院での診療や定期的なチェックだけでなく、毎日のセルフケアも欠かせません。丁寧な歯みがきや歯間ケアなどで歯垢(プラーク)をできるだけ取り除き、口腔内を清潔に保つことを心がけましょう。
歯周病は口腔内だけの問題ではなく、糖尿病をはじめとするさまざまな全身疾患との関連も指摘されています。歯と歯茎、そして全身の健康を守るためにも、毎日のセルフケアと定期的な歯科受診を続けていくことが大切です。