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健康な歯と歯ぐきをまもるために…。
歯の健康に関するコラム記事を
ご紹介しています。
2026/08/31
プラークと歯周病|
要注意の健康リスクとは
「プラークは健康にどう影響するの?」と気になっていませんか?
歯垢は別名プラークと呼ばれ、虫歯や歯周病、口臭といったお口トラブルの根本的な原因です。しかしその影響はお口のなかだけに留まらず、場合によっては全身疾患を引き起こすこともあるため注意しなくてはいけません。
こちらの記事では、プラークの基礎知識や全身疾患との関係性、対策方法について分かりやすく解説しています。健康的な毎日を送りたいという方はぜひご参考ください。
プラークとは?その基本知識
プラークは別名「歯垢」とよばれ、歯や歯ぐきの表面に付着する物質です。単なる食べカスではなく、7割以上がお口の中の細菌(常在菌)で構成されており、プラーク1mgの中には10億個以上の細菌が存在しています。細菌の塊といっても過言ではありません。プラークにはおよそ400~700種類の細菌種がいると言われており、白くモヤモヤした見た目で粘着力があるのが特徴です。虫歯や歯周病といったお口トラブルの根本的な原因であるため、毎日のお手入れで丁寧にしっかりと除去することが大切です。
プラークを構成する主成分
プラークの約80%が水分で残りの約20%が有機質(細菌の塊やその代謝物)です。有機質成分のうち約70%を細菌体が占めています。お口のなかに存在する細菌はおよそ400~700種類といわれており、そのうち数十種類が歯周病の発症や進行に深く関与する原因菌です。
| プラークの主な成分 |
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多糖性ポリマー(多数の単糖がグリコシド結合で連なった高分子化合物) 唾液や歯肉溝滲出液由来の糖タンパク(形成・組成において中心的な役割を果たす物質) 細菌由来の無機成分(カルシウム、リン酸、ナトリウム、カリウム、塩素など) |
プラークの形成過程
①歯の表面にペリクル(唾液由来の糖タンパク質の膜)が形成されます。
②ペリクルに細菌が付着・増殖し細菌自身が産生する多糖性ポリマーによって、バイオフィルム(透明な細菌叢)が形成されます。
③バイオフィルムという強固な壁ができることで内部の細菌は外部刺激や洗浄から守られ、増殖・成熟が進み、虫歯や歯周病といったお口トラブルを引き起こします。
形成されるペリクルを防ぐことはできないため、その後のバイオフィルムの形成する前に除去することが虫歯や歯周病を防ぐ大切なポイントといえるでしょう。
プラークが付着しやすい部位
強固な壁であるバイオフィルムはうがい程度では落とせず、機械的清掃などある程度の刺激を加えることが必要になります。プラークを除去する方法には基本のブラッシング(歯みがき)以外に咀嚼行為も食べカスの除去や唾液分泌の促進という点で、お口の自浄作用を助ける役割を果たします。特に食物繊維の多い食べ物はしっかり噛むことで繊維質が歯と擦れて汚れの除去率が高まることが期待されます。自浄作用や再石灰化作用をもつ唾液の分泌も促されるので、回数を意識する=歯科トラブルの予防効果を高めることに役立つといえるでしょう。しかし、咀嚼によって除去できる汚れは主に食べ物が触れる噛み合わせ面のみです。「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」「噛み合わせ面の溝」の3つはプラークが付着しやすく、かつ磨き残しもおこりやすい傾向にあります。
プラークが溜まる原因
プラークが溜まる原因は大きく分けて「食生活」と「お手入れ」の両方に存在します。歯の表面に形成されるペリクルは完全に防げないため、この2つの質を高めることがプラーク予防を強化するうえで重要です。それぞれがどのようにプラークに関与しているのかについて、以下で詳しくみていきましょう。
糖分の摂取
虫歯の原因菌は、砂糖の成分であるショ糖を好みます。ショ糖を代謝する過程で酸を産生し、その結果、歯の表面が酸によって弱くなり溶けやすい状態になります。ショ糖を分解してブドウ糖でグルカンというネバネバとした物質を作りますが、このグルカンが歯の表面に付着することで細菌が定着しやすくなり、プラークは次第に厚く、除去しにくい状態へと成長していきます。
砂糖は甘いおやつはもちろん日常的な料理や調味料にも多く含まれています。お口のなかが酸性の状態に傾くと細菌が活発化しやすくなるため、結果的にプラークが溜まりやすくなります。酸性食品そのものがプラークを増やすわけではありませんが、酸性環境が続くことで歯の表面が弱くなり、プラークの影響を受けやすくなるため、摂取する量やタイミングには注意が必要です。
お手入れ不足
プラークは歯石と異なり歯ブラシの毛先がしっかり当たっていれば除去が可能ですが、毛先が届いていなければ、どれだけ良い歯みがき粉や洗口剤を使用したとしても十分に落とせません。歯みがきの回数だけでなく、磨き方の質も重要です。磨く回数が少ないと磨き残しのリスクが増加し、反対に磨く回数があまりに多いと歯や歯ぐきが摩耗するリスクが上がるので、その点にも注意が必要です。また、歯ブラシのみでのお手入れでは全体の6割程度しかきれいにできないことも分かっており、予防を強化させるにはフロスや歯間ブラシといった補助アイテムの併用が不可欠といえます。歯並びが整っていない場合はさらに磨き残しが起こりやすくなりますので、一度歯科医院で検診を受けて「自分に合ったお手入れ方法」をチェックしてもらうとよいでしょう。
プラークが引き起こす健康リスク
プラークを放置するとお口のなかだけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
虫歯や歯周病などの歯科疾患
プラークには数多くの細菌が存在しており、放置することで虫歯や歯周病といった歯科トラブルにつながります。虫歯は細菌が産生する酸によって歯の表面が弱くなることで発症します。一方、歯周病は主に歯周病菌が出す毒素などの有害物質において引き起こされる炎症性疾患です。歯ぐきに付着したプラークが毒素を出し、その影響で歯ぐきに炎症や出血がおこり、さらに歯を支える歯槽骨が溶かされ始めます。さらに、歯周病による炎症が続くと、細菌や炎症性物質が血液に乗って全身に影響を及ぼすことがある点も、歯周病が注意すべき疾患とされる理由の一つです。
誤嚥性肺炎
飲食物や唾液が本来入るべきである胃ではなく肺に入ることを誤嚥(ごえん)といいますが、そのときにお口のなかに存在する細菌を含んだ唾液や食物残渣(食べかす)が入ると肺炎を引き起こすことがあります。それを誤嚥性肺炎といい、嚥下機能や免疫力が低下した高齢者では特にリスクが高くなります。誤嚥性肺炎による死亡率は年々増加傾向にあり、2024年では国内において死因第6位となりました。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2026年版)」(原資料:厚生労働省「人口動態統計」)
心筋梗塞や脳梗塞
歯周病菌や炎症性物質が血液を介して全身に広がると、血管内で炎症が起こりやすくなり、その影響で動脈硬化が進行し、血管内に脂質などが蓄積した「動脈硬化性プラーク」が形成されることがあります。このプラークが破綻すると、それを修復する過程で血栓が形成され、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患につながることがあります。国内における死因第2位である心疾患のうち心筋梗塞による死亡率は約19%と決して低くはありません。脳梗塞を含む脳卒中は死因第4位ですが、寝たきりになる原因としては第1位です。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2026年版)」(原資料:厚生労働省「人口動態統計」)
糖尿病の悪化
歯周病と糖尿病は相互に影響しあう関係にあり、どちらか一方が悪化するともう一方も悪化しやすくなる傾向にあります。糖尿病が歯周病を悪化させる主な理由として、高血糖による免疫力低下や血行不良が挙げられます。これにより歯周病菌への抵抗力が弱まり、歯周病が進行しやすくなります。歯周病が糖尿病を悪化させる主な理由としては、歯周病によって発生した炎症性物質(TNF-α)が血糖値を下げるインスリンの働きを阻害する点が挙げられます。
プラークを防ぐための対策
プラークによる悪影響を防ぐためは、対策方法を正しく理解しておくことが大切です。自分でできるセルフケアとして「お手入れ方法の改善」「食事制限」の2つが挙げられます。正しいやり方を習慣化して健康な毎日を目指しましょう。
正しいお手入れ方法を身につける
お手入れの質を高めるには、まず使用する歯ブラシの選び方から注意しなくてはいけません。ヘッドの部分が大きすぎると最後臼歯(一番後ろの奥歯)の頬側や後方部分に毛先が届きにくくの磨き残しが起こりやすくなります。そのためできるだけコンパクトなタイプを選び、歯ぐきが大きく腫れている・磨く力が過度に強いという場合を除いて毛先は「ふつう」を選びましょう。歯ぐきの腫れがみられたり磨く力が強かったりする場合は「やわらかめ」がおすすめです。毛先が硬すぎると歯や歯ぐきを摩耗させるリスクが高くなります。また、毛先が広がった歯ブラシは汚れを十分に落としにくくなるため、歯ブラシは1か月に1回を目安に交換することが望ましいとされています。
プラークの除去率を高めるためには、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助アイテムも欠かせません。歯ブラシだけでは届かない歯間部や歯ぐきの境目・隙間を清掃することで、プラークの取り残しを減らすことができます。正しいお手入れのコツを掴むまで、プラークに色をつけて目立つようにする「染め出し」を活用するのもおすすめです。
糖分や酸性食品の摂りすぎに注意する
糖分や酸性食品を頻繁に摂取すると、お口の中が酸性状態に傾く時間が長くなり虫歯や歯周病のリスクが高まります。食後に歯磨きやうがいを行い酸性状態が続く時間をできるだけ短くすることが大切です。また、砂糖を糖アルコール(キシリトールなど)に変える、酸性食品で摂取している栄養素を別の食品で補うといった工夫をすることで過度な食事制限をせずにリスクを抑えられます。人工甘味料を使ったおやつを探したり作ったりする時間がないという場合は、できるだけお口のなかに留まりにくいものを選びましょう。チョコレートやキャラメルなどは砂糖が多く含まれており、粘着性が高いため歯に残りやすい傾向があります。ジュースやアイスクリームなどは歯に付着しにくく、口腔内に長時間停滞しにくいという特徴があるため、摂取頻度やタイミングに配慮しながら選ぶことがポイントです。
歯科医院でのチェックを定期的に受ける
歯周病は目立った症状がほとんどないまま進行する疾患です。丁寧なセルフケアはもちろん必要ですが、原因となる磨き残しも磨き癖があれば改善が難しくなるため、プラークによる悪影響を予防するには歯科医師による定期的なチェックやアドバイスが不可欠です。プラークと全身疾患の関連性が明らかになるにつれ、歯科医師会も予防歯科に力を入れています。クリーニングでは普段のお手入れでは取れない汚れもしっかり落とせるので、予防はもちろん清潔感を維持したい方にもおすすめです。
まとめと今後のケア
お口の中にプラークの原因となる細菌が存在している以上、プラークの生産を完全に止めることは残念ながらできません。しかし、放置するとお口トラブルだけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼし、場合によっては心筋梗塞や脳卒中、誤嚥性肺炎など命に関わる病気につながります。こうしたリスクを最小限に抑えるには、プラークの増加や口腔内での停滞時間を短くすることが重要です。毎日の丁寧なブラッシングや補助清掃だけでなく糖分や酸性食品の摂取を控える工夫、そして歯科医院での定期的なチェック・クリーニングも有効です。
全身の健康を守るためにも、今日からできる対策を少しずつ取り入れていきましょう。





























































